小学校教師の経験を持つ山本高之は作品制作にあたり、まずワークショップを行う。山本は自ら教師役を演じ、参加者である子どもたちに「知る」「習得する」「考える」経験を与え、素直な反応や創造性を引き出しながら、従来の教育やワークショップのルールをずらしていく。ワークショップの企画も進行も山本が行うにもかかわらず、その姿や挙動は彼の作品には現れない。作品を構成するのは、自ら考えることを強いられ戸惑いながらも、わずかな経験値を総動員して新たなものを生み出そうともがく子どもの姿を捉えた映像と、ワークショップの成果物だけである。
教育は人のその後の人生に大きな影響を与える。教育が現代社会の慣習や制度をつくってきたとも言えるのではないか。本展で発表される、この一年間に彼が日本各地で行った様々なワークショップの成果は、鑑賞者の経験にも揺さぶりをかけていく。
1974年愛知県生まれ。1999年愛知教育大学大学院芸術教育修了、2002年チェルシー・カレッジオブアートアンドデザイン、ファインアート修士修了。2011年より愛知県立芸術大学非常勤講師。
近年の主な個展に、2011年「Novi Pakao – New Hell」(Max Artfesta、ザグレブ、クロアチア)、2012年「Facing the Unknown」(MUZZ、京都)、2013年「Facing the Unknown: Dark Energy」(island、東京)、「Facing the Unknown」(ケンジタキギャラリー、東京)がある。近年の主なグループ展に、2010年「あいちトリエンナーレ2010」(旧玉屋ビル、長者町、愛知)、2011年「ARTZUID 2011」(アムステルダム、オランダ)、「ゼロダテ」(大町商店街、秋田)、2012年「Phantoms of Asia: Contemporary Awakens the Past」(アジアン・アート・ミュージアム、サンフランシスコ、アメリカ)、「高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol.02-贈物と交換-」(高松市美術館、香川)、2013年「Omnilogue: Your voice is mine」(シンガポール国立大学美術館)、「山本キノコシアター」(アートエリアB1、大阪)がある。
YAMAMOTO Takayuki
1974 Born in Aichi, Japan
1997 BA in Art Education, Aichi University of Education, Japan
1999 MA in Art Education, Aichi University of Education, Japan
2001 PG dip in Fine Art, Byam Shaw School of Art, U.K
2002 MA in Fine Art, Chelsea College of Art and Design, U.K